労働災害(労災)に強い宇都宮の弁護士

 

労働災害にあった場合、治療、労災保険の申請、事業主との交渉など、多くの問題に取り組まなければならず、戸惑うことが多いかと思います。

 

弁護士に早期に相談していただくことで、将来に対する見通しと、今すべきことについてお分かりいただくことができます。

 

労働災害にあった場合、労災保険の給付を受け、それで終わりとお考えの方が多いかと存じます。

 

しかし、事業主に対して慰謝料を請求できる可能性があることをご存知の方は少ないのではないでしょうか。
慰謝料の金額も、弁護士が介入することで、大幅に増額するケースが多く見受けられます。

 

労働災害に遭われたら、まずは弁護士にご相談ください。

 

 

このページの目次

○労働災害とは

労働災害とは、「労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡すること」をいいます(労働安全衛生法2条1項)。

 

労災には、「業務災害」と「通勤災害」の二つがあります。

 

①業務災害

 業務災害とは、業務が原因となって発生をした事故による怪我・負傷や疾病、障害のことをいいます。
例えば、工場の機械に腕が挟まれた、荷物が頭上に落ちてきたなどいうケースです。

 

業務災害として認定されるためには、ⅰ労働者が事業主の支配下にあること(業務遂行性)と、ⅱ業務が原因で災害が発したこと(業務起因性)が必要とされます

 

②通勤災害

典型例は、通勤途中に交通事故の被害にあったケースです。

 

通勤災害とは、「労働者が就業に関し、住居と就業の場所との間を合理的な経路及び方法により往復する途上における事故であり、業務の性質を有しないもの」をいいます(労働者災害補償保険法第7条)。

 

通勤災害として認定されるためには、合理的な経路及び方法と認められなければなりません。
例えば、通勤途中でお店に寄ったという私的な理由で通勤経路とは別のルートに回り道をした場合には、通勤災害と認められません。

 

 

○労災保険の給付内容について

労災保険は、労働者が、①業務災害や②通勤災害にあった場合に適用されます(労働者災害補償保険法)。
事業主を労働保険の加入者といいます(労働者を加入者とはいいません)。

 

具体的には、次のような補償がされます。

 

①業務災害

・療養補償給付(治療費等)

・休業補償給付(治療のために会社を休んだ場合の賃金等)

・障害補償給付(障害が残った場合)

・遺族補償給付(遺族に対して)

・葬祭料(葬祭を行った者に対して)

・傷病補償年金(1年6か月経過後、傷病等級1級から3級に該当する場合)

・介護補償給付(一定の障害を負った場合で、現に介護を受けている場合)

 

②通勤災害

・療養給付(治療費等)

・休業給付(治療のために会社を休んだ場合の賃金等)

・障害給付(障害が残った場合)

・遺族給付(遺族に対して)

・葬祭給付(葬祭を行った者に対して)

・傷病年金(1年6か月経過後、傷病等級1級から3級に該当する場合)

・介護給付(一定の障害を負った場合で、現に介護を受けている場合)

 

以上の保険給付等は、後遺症が残った場合や死亡してしまった場合、労災の後遺障害の等級に応じて、金額が異なります。

 

弁護士に依頼することにより、より高い等級が獲得できる可能性が高まります。
また、保険給付に加えて、事業主(会社)に対する安全配慮義務違反に基づく慰謝料請求をすることになります。

 

 

 

○事故発生から解決までの流れ

① 事故発生

 

② 労災保険給付申請

労働基準監督署へ申請します。

 

③ 会社との交渉

労働災害の保険給付とは別に、会社に損害賠償を請求します。

 

④ 裁判手続

会社との交渉が成立しない場合は、訴訟を提起します。

 

⑤ 解決

 

○会社に対して損害賠償を請求できるケース①
「他の従業員の不注意によって怪我をした場合」

例えば、他の従業員がフォークリフトで作業をしていたところ、被害者の存在に気付かずにフォークリフトで被害者をひいてしまった場合や、他の従業員がうっかり上から物を落として下にいた被害者に当たって怪我をした場合などです。
上司によるパワハラやセクハラによってうつ病になってしまう場合もあります。

 

他の従業員の不注意によって怪我をした場合」は、次の損害賠償請求が可能です。

 

ⅰ 他の従業員に対して、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求

請求内容としては、治療費、付添看護費用、入院雑費、休業損害、慰謝料、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益、介護費用があります。

 

ⅱ 会社に対して、使用者責任(民法715条)に基づく損害賠償請求

例えば、会社が必要とされる安全措置をとっていなかった「安全配慮義務違反」の場合や、パワハラ等を放置した「職場環境配慮義務違反」の場合などです。

 

損害賠償請求は、他の従業員と会社の両方に請求することもできます。

 

○会社に対して損害賠償を請求できるケース②
「自分一人で作業中に怪我をした場合」

例えば、工場の機械で作業中に誤って手を挟んでしまった場合や、建設現場で足場の移動中に落下した場合などです。

 

会社に対して安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求をすることになります。

この場合は、会社と対立することがあります。
会社としても責任を認められないのか直ちに受け入れられないことが多いからです。

 

安全配慮義務とは、会社は、労働者に対して、作業を遂行するに当たり、労働者の生命及び健康等を危険から保護するように配慮しなければならない義務のことをいい、基本的には雇用関係に付随する義務とされます(労働契約法5条参照)。

 

具体的には、業種、作業内容、作業環境、被災者の地位や経験、当時の技術水準など様々な要素を総合的に考慮して、その内容が決まります。

 

次のような場合には、安全配慮義務違反が認められやすい傾向にあります。


・「教育不足」があった場合。

・「会社から提供された機械や道具が原因」であった場合。

・「労働安全衛生法」や「労働安全衛生規則」に関する違反がある場合。

・労働基準監督署が法令違反があるとして、是正勧告などを会社が受けた場合。

・会社が刑事処分を受けた場合

なお、安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求の時効は10年です。

 

派遣労働者の場合

この場合、派遣元の会社と派遣労働者との間には雇用契約がありますが、派遣先の会社と派遣労働者との間には直接的な法律関係が無い点が問題になります。

 

しかし、派遣先の会社には、派遣労働者に対して労働安全衛生法の適用があると定められています(労働者派遣法第45条)。また、直接の雇用関係はないものの、派遣労働者は、派遣先の会社の指示に従って作業をするので、派遣先の会社と派遣労働者との間には特別な社会的接触の関係があると考えられています。

 

したがって、派遣先の会社は、派遣従業員に対して安全配慮義務を負っていると考えられます。

 

逆に、派遣元の会社は派遣労働者に対して安全配慮義務を負うものの、派遣労働者に直接指揮命令をするのは派遣先の会社です。

 

したがって、派遣先の会社に対して安全配慮義務違反が認められるが、派遣元の会社に対しては安全配慮義務違反が認められないというケースもあります。

 

請負契約の場合

建築現場などでは、元請業者や下請業者が存在するため、誰に対して安全配慮義務違反を問うことができるのかという問題があります。

 

下請業者は、その従業員との間に雇用関係があるので、下請業者は、従業員に対して安全配慮義務違反を負います。

 

これに対し、元請業者は、下請会社の従業員との間に直接の法律関係はありませんし、労働安全衛生法の適用もありません。

 

しかし、下請業者の従業員であっても、事実上、元請業者の指揮命令のもとに作業をしていた場合は、元請業者は、下請業者の従業員に対しても安全配慮義務を負うと考えられています。

 

 

○会社に対して損害賠償を請求できるケース③「工作物責任」

レアケースですが、土地についている工作物に、通常備えている安全性がなく、それが原因で負傷をしたような場合は、その工作物の占有者や所有者に対して、工作物責任(民法717条)を問えることがあります。

 

 

○具体的な手続

まずは証拠収集です。

 

1 ご自身や会社にある資料

事故状況が分かる写真等

 

2 労災の資料

当該労働基準監督署を管轄する「労働局」で、「保有個人情報公開請求」に基づいて、以下の資料のコピーを入手します。1か月ほどかかります。


・労働者死傷病報告

・災害調査復命書(災害調査が行われている場合)

・休業補償給付支給請求書、休業支給決定決議書

・療養給付たる療養の給付請求書

・病院の診療報酬明細書(レセプト)

・障害補償給付支給請求書、年金・一時金支給決定決議書、調査復命書

 

 

3 事故状況と認定された後遺障害の内容を判断し、損害額を計算

 

4 その後、内容証明郵便による通知書を送付し、交渉開始

 

5 交渉が決裂した場合は、訴訟提起

 

なお、会社相手であれば労働審判も利用できます。

 

 

 

○弁護士に依頼するメリット

① 労災保険の申請をサポートします。

労災保険の申請をしようとしても、事業主がこれを拒否してくることがあります。

 

事業主が保険料を支払っていない、労基署の立入りを嫌がるなどが理由です。
しかし、労災保険の利用は労働者の権利ですから、弁護士が申請を徹底的にサポートします。 

 

② 損害賠償金が大幅に増額する可能性がある

労災保険による補償対象は、治療費、休業損害の6割と、後遺障害逸失利益の一部のみとされています。
傷害や後遺障害を負った場合における「慰謝料」については対象外なのです。

 

そこで、安全配慮義務違反が認められる場合には、労災保険で補償されない損害についても、事業主に対して請求することが可能となります。
これにより、賠償額が大幅に増額します。

 

③ 弁護士が入ることにより、会社と対等に交渉することができる

個々の従業員が、事業主と対等に交渉することは困難なことが多いです。

しかし、弁護士が入ることで、事業主と対等に交渉を行うことができるようになります。
皆さまの精神的負担も大幅に軽減されます。

 

 

 

○弁護士に相談するタイミング

できるだけ早く、弁護士にご相談ください。

 

労働災害にあった場合、治療、労災保険の申請、事業主との交渉など、多くの問題に取り組まなければならず、戸惑うことが多いかと思います。

 

弁護士に早期に相談していただくことで、将来に対する見通しと、今すべきことがすぐに理解できるようになります。

 

また、早期にご相談いただくことで、時間の経過とともに失われてしまう重要な証拠などを確保できることも多くあります。

 

労働災害にあった場合、労災保険の給付を受け、それで終わりとお考えの方が多いかと存じます。
しかし、事業主に対して慰謝料を請求できる可能性があります。

 

慰謝料の金額も、弁護士が介入することで、大幅に増額するケースが多く見受けられます。
労働災害にあわれたら、まずは弁護士にご相談ください。

 

 

 

○それぞれのタイミングで行うべきこと

【事故直後・治療中のタイミング】

① 労災の申請

・業務中や通勤途中で怪我をした場合、まずは労災を申請してください。

・労災を申請すれば、治療費の負担がありませんし、休業補償も受けられます。

・なお、労災申請をしないと、後遺障害の申請もできなくなってしまい、等級に応じた一時金や年金が支給されなくなりますし、会社に対して損害賠償請求をする際にも、後遺障害慰謝料や逸失利益等の請求が困難になってしまいます。

 

② 適切な治療・検査

・労災保険を適用して、労災保険指定病院に行きましょう。

労災保険認定病院であれば、窓口での負担がありません。
それ以外の病院ではいったん費用を立て替えなければなりません。
なお、労災が適用される場合は、健康保険を使ってはいけません。

 

・事故後、できるだけ早期に病院に行ってください。

時間が経ってから病院に行っては、事故と怪我との間の因果関係が説明できなくなってしまうからです。

 

・痛みなどがある場合は、部位や、痛みの程度などの全てを医師に正確に伝えてください。
時間が経った後に痛みを伝えても、やはり事故と怪我との間の因果関係が説明できなくなってしまうからです。
症状などをカルテ等に記載してもらうと良いです。

 

・できるだけ早期に、レントゲンやMRI等の検査を受けてください。
治療という目的はもちろんですが、賠償請求の観点から具体的な症状を後日証明できるようにする目的があります。

 

 

 

③ 証拠資料の収集

・後日裁判に発展するような場合だけでなく、後日怪我の状況を説明する必要がある場合などに、現場の状況が変わってしまっていては、もう現場の証拠を確保することは困難となってしまいます。
したがって、できるだけ早期に、事故態様が分かる資料や現場写真を確保しておくべきです。

 

 

④ 労災保険の給付申請、労働災害申請

・労働災害にあった場合、療養給付(治療費の支払)や休業補償給付などにつき、労災保険の申請をする必要があります。

 

・必要な資料を揃え、労働基準監督署に提出します。
通常は、会社が手続してくれます。会社の社会保険労務士(社労士)が手続を代行してくれることも多いです。

 

・療養の給付請求書を提出することにより、治療費を自分で負担せずに、労災から病院に治療費が支払われます。
医療機関を通して、労働基準監督署に提出します。

 

・レセプト(診療報酬明細書)を月に1回提出します。

治療回数、入通院期間、治療内容が記載されています。
ただし、レセプトは病院が労働基準監督署に提出します(ご自身が入手する必要がある場合は、労働局に対して保有個人情報公開請求をします。)。

 

・休業補償給付の請求書を提出することにより、労働災害による療養のために働くことができず、給料を受給できない場合に、補償を受けることが可能となります。

 

請求書に、事業主と医師の証明を受け、労働基準監督署に提出します。
給付が決定すると、厚生労働省より、休業補償の「支払決定通知」と「支払振込通知」が記載された葉書が送られてきます。

 

 

【症状固定で後遺障害申請をするタイミング】

① 医師より「症状固定」と言われたとき

・基本的には、治療は終了となります。

・もっとも、お身体に痛み、しびれ、可動域制限等が残っている場合や、精神に一定の障害が残ってしまった場合など、後遺障害があるときには、障害補償給付支給請求(後遺障害の申請)をすることになります。

・障害補償給付支給請求書(業務災害用。様式第10号)の裏面にある診断書(後遺障害診断書)を医師に記載してもらいます。

 

② 障害補償給付支給請求書(後遺障害診断書)の書き方

・医師による診断書の記載は極めて重要です。ただし、医師といっても、後遺障害認定の専門家ではありません。診断書の記載が欠けていたり、不足していたりすることが残念ながら多々あります。

・自己申立書という書類も提出するのですが、その際「仕事上や日常生活上不自由なこと」や「痛みや運動制限など現在残っている症状」を記載しなければなりません。これらについては、できるだけ、正確に、不足なく記載する必要があります。

・この資料を基に、労働局の地方労災医員の医師が診断をする等して、後遺障害の等級が確定します。

・これらの点について、弁護士が十分にアドバイスすることが可能ですから、すぐに弁護士に相談すべきです。

 

【会社に対して損害賠償を請求するタイミング】

労働災害にあった場合、労災保険の給付を受け、それで終わりとお考えの方が多いかと存じます。
しかし、労災保険による補償対象は、治療費、休業損害の6割と、後遺障害逸失利益の一部だけなのです。

 

事業主に安全配慮義務違反が認められる場合には、労災保険で補償されない損害(慰謝料)についても、事業主に対して請求することが可能となります。

 

これにより、賠償額が大幅に増額します。
弁護士が介入することにより、慰謝料の金額も、大幅に増額するケースがあります。

 

労働災害に遭われたら、まずは弁護士にご相談ください。

 

 

 

○よくあるご相談

①会社から「労災申請しないでくれ」と言われた。

・労災報告は事業者の義務です(死傷病報告)。
会社としては、労災保険を利用すると労災保険料が上がる、会社のイメージが低下する、などの理由から労災を報告したくないのかもしれません。


しかし、「労災申請しないでくれ」と言うのは違法行為です。
事業主が労災報告をしなかった場合は、50万円以下の罰金刑という刑罰が科されます。

 

・会社が労災申請しないでくれと言ってきた場合には、労災の申請書に「会社が協力してくれない」と書いて申請しましょう。また、弁護士や労基署に相談しましょう。

 

②自分に過失があっても、会社に損害賠償請求ができるのか。

・自分に過失がある場合でも、会社に損害賠償を請求することは可能です。

 

・もっとも、会社に、安全配慮義務違反や職場環境配慮義務違反があることが必要です。
この点に関する判断は、難しいこともあるので、弁護士に相談しましょう。

 

・自分に過失がある場合、その分だけ、金額が減額される(過失相殺)というだけであって、会社の責任がなくなるわけではありません。

 

・こういったケースでは、会社との話し合いが難航する可能性がありますから、まず労災問題に強い弁護士に相談すると良いです。

 

 

○労災でご家族を亡くされた方へ

労働災害で家族を亡くしてしまった場合、その悲しみは計り知れません。

もっとも、以下の請求等を検討すべきです。

 

① 労災保険

必ず申請をしましょう。実際には、ご遺族の方が受給することになります。

ⅰ 葬祭料(遺族が葬儀を執り行うために支払われる給付金)

ⅱ 遺族補償給付金(遺族の生活保障)

・年金と一時金の2種類があります。

・遺族補償年金(期間に制限なく、毎年、遺族に給付され続けます)

 

主に妻が受給します。
妻以外の子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹は、高齢または年少あるいは障害を持っていることが要件となります。

 

・遺族補償一時金(遺族補償年金を受けとるべき遺族がいない場合に、配偶者や子ども、孫、親や祖父母、兄弟姉妹などが受けとれる一回限りの給付金)

 

② 会社に対する損害賠償

会社に安全配慮義務違反などがあれば、会社にも責任が発生し、慰謝料や逸失利益について、会社に対して損害賠償請求をすることができます。

 

○弁護士費用

着手金

報酬金

無料

(※)

任意交渉で終わった場合

得た金額の16.5~22%

裁判で解決した場合

得た金額の22~27.5%

(※)治療中の事案や後遺障害が認定される可能性が低いと思われる事案等は、着手金22万円程度をいただくことがあります。